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平均顔についてのよくある誤解
平均顔 | comments(0)

☆☆☆「ある心理学的研究によれば、人間にとって最も魅力的に感じられる顔は、平均顔であるという。だから、もし日本中の女性の顔を集めて平均化したら、とんでもない美人になるに違いない。」

 

誤解1:顔の数

[ある40名の平均顔]
 
  素材となる顔写真の集め方がよほど偏っているので無い限り、だいたい40名程度(あるいはもう少し多め)の顔を集めれば十分であろう。それ以上顔を増やしても、生成される平均顔はほとんど変化しないので、比較的少ないサンプル数で作った平均顔によって、日本人女性全体の平均顔を近似できていると考えられる。全ての日本人女性の身長を測らなくても、ある程度の人数の身長を測りさえすれば、そこから日本人女性全体の平均身長が近似的に求められるのと理屈は同じである。 ただし、こういった事が話題に上がる場合の「全ての日本人女性」というのは、おそらく「全ての妙齢の女性」という意味だと思うがどうだろうか?より広い年齢層の日本人女性の平均顔を問題とするような場合にも、40名程度で十分と言えるかどうかは残念ながらわからない。
 
[別の40名の平均顔]

  40名程度で十分だろうという私の主張は、個人的な経験則に基づく推測に過ぎないが、これは多くの研究者が持っている共通認識でもあるのだろう。実際、平均顔をテーマとした心理学論文を読むと、平均化している人数は30名程度のことが多く、しかも、別の研究者が別の顔写真サンプルから作成した日本人女性の平均顔(大抵は女子の大学生の平均顔)がほとんど同じ顔となっている。これは男子大学生の平均顔についても同様である。その程度の数を平均すればもう十分だ、と判断したということなのだろう(参考記事:いくつくらい顔を集めればいいのか? [別解])。

繰り返しになるが、上記の議論には、「素材となる顔写真の集め方がよほど偏っているので無い限り」という前提条件がついている。全員が美少女コンテストの優勝者であるとか、全員が奇相であるとかいう場合は成り立たない。そもそもが「もし日本中の女性の顔を集めて平均化したら」という悉皆調査を前提とした話であったので、そのような極端な偏りのあるサンプリングを想定すること自体が無意味であろうけれども。
 

誤解2:平均顔こそがベスト

心理学的研究が示唆しているのは、平均性が顔の魅力にとって重要な要因の一つである、ということに過ぎない。確かに、いくつかの顔を集めて平均化すると、元になった個々の顔よりも平均顔の方が魅力度が高くなっている事が多い。しかしこのことは、平均顔が究極の美男美女であることを必ずしも意味しない。
  簡単な話である。このサイトで公開しているいくつかの平均顔(平均化している人数が多い物が良い)よりも魅力的な相貌の持ち主を、あなたは何人でも思いつくはずである。俳優さんでも良いし、アイドル歌手やファッションモデルでも良い。
  ある研究によれば、平均性が生み出す魅力は、非性的な魅力であるという。 そうだとすれば、特にセクシーさに注目した場合、平均顔よりも魅力的な顔(セクシーな顔)は、いくらでも見つけることができるはずである。

 
 

☆☆☆「平均顔よりも魅力的な顔はいくらでも存在する。例えば、美人だけを集めて作った平均顔は、無作為に集められた顔で作った平均顔よりも、明らかに美人である。だから、平均顔は美人ではない。」

 

誤解3:平均顔は美男美女とは言えない

美人コンテストでは、優勝した人だけが美人であり、2位以下の出場者は全員不美人だということにはならない。平均顔は究極の美男美女ではないかもしれないが、そこそこレベルの魅力を備えた顔であることは間違いなさそうである。

 
 

☆☆☆「平均顔は私の好みのタイプではない。だから平均顔は美人ではない」

 

誤解4:個人的な好みのタイプと「いわゆる美男美女」

心理学的研究では、できるだけ大勢の被験者のデータを集計して、多くの人に共通する一般的傾向を推測しようとする。だから、そこで言及される一般的傾向は、個々人の好みとなんらかのズレがあるのが当然である。いわば、研究の結論として述べられているのは、ある特定の個人にとっての美男美女の話ではなく、「いわゆる美男美女」のことである。 ある人気女優の写真を見て「私の好みのタイプじゃないけれど、世間受けしそうな美人ではあるよね」といった発言をしたことがある人なら、上に述べたことの主旨は理解できるであろう。

 
 

☆☆☆「人間の顔には多かれ少なかれ歪みがあるが、平均化する人数を増やしていくと、その歪みが相殺され、徐々に左右対称な顔になっていく。平均顔が魅力的に感じられるのは、平均顔が左右対称な顔だからである」

 

誤解5:左右対称だと魅力的

確かに、多くの人の顔を集めて作った平均顔は左右対称な顔に近づいていく。しかし、顔の魅力にとって左右対称性はそれほど重要ではなさそうである。左右対称性は、魅力的であることの十分条件ではない。実際、完全に左右対称だが、魅力的とは言えない(むしろ不気味な)顔が存在しうる(参考:平均顔が美男美女に見えるのは左右対称だから?)。 このアプリは横顔の平均顔を作ることができないが、汎用のモーフィングソフトウェアを使えば、平均横顔を作ることができる。横顔は、平均化する顔の数をいくら増やしていっても、左右対称にはならない。しかし、平均横顔は、平均正面顔と同じ様に、魅力度の(そこそこ)高い顔となる。

 
 

 ☆☆☆「街を歩いていても、平均顔みたいな顔の人は見たことがない。なんか変じゃない?」

 

誤解6:平均と多数派

実は変じゃないのだが、平均であることと多数派であることがごっちゃになっていると、変だと感じてしまうのかもしれない。 例えば、ある高校でテストをしたとき、全校平均が50点だったとする。大抵の場合、50点前後の点を取った生徒が多数派になるので、平均=多数派と考えて良いように思えてしまう。 しかし、101人の生徒がいたとして、50人が100点満点、50人が0点、のこり一人がちょうど50点を取ったとする。このとき、平均値は50点となる。しかし、平均値の50点を取ったのはたった一人なので、多数派とは言えない。 人の顔の場合もこのテストの例と同じように、平均値が多数派とならないような状況になっているのかもしれない。

 
 

☆☆☆「自分と○○の平均顔やってみた。顔が全然合わんw」

 

誤解7:顔が合わない

平均顔は、半透明にした顔写真を単に重ね合わせるものだ、という誤解が背景にある。 そもそも、合っていない異なる顔の間で平均を求め、中間の顔を作ったのが平均顔である。 重ね合わせるだけでは、平均にはならない。 それは「平均顔やってみた」とは言えないのである。 モーフィングの様な画像変形技術を使ったアプリ・ソフトウェアならば「全然合わん」ということにはならないはず。 ただし、モーフィングにも限界があり、正面向きの顔と横顔の様な、撮影条件がそもそも違う顔写真を使うと「全然合わん」ということはあり得る。

 
 

☆☆☆「心理学では、平均顔は魅力的な顔であることがわかっている。自分の容姿が十人並で平均レベルだからといってガッカリする必要は無い。平均こそが魅力的なのだから、あなたは魅力的なのだ」

☆☆☆「検索したら出てきた女の平均顔。これより上が美人で下だとブス。」

 

誤解8:何の平均か?

平均顔の何が平均かと言えば、両目の間の距離や、肌の色といった物理的な特徴である。 一方、十人並の容姿、すなわち平均的な見た目、と言った事が話題になるとき、何についての平均なのかと言えば、それは魅力の度合いである。すごく魅力的でもないし、すごくダメというわけでもない、平均的な魅力度、という意味である。 この二つの「平均」は、意味するところが全く違う。 「顔の物理的な特徴が平均値になっている人がいて、その人の魅力度が平均値以上になっている」と言うのは意味が通る。 しかし、「顔の魅力度が平均値になっている人がいて、その人の魅力度が平均値以上になっている」なんてことはあり得ず、明らかに話が矛盾している。ただし、魅力度が平均的だからと言ってガッカリする必要は無い、のはその通りだと思う。

一方、「これより上が美人で下だとブス」というのは、あきらかに魅力度についての話になっている。魅力度が平均値の顔というのがあったとして、それよりも魅力度が高い顔が美人であり、より魅力度が低い顔を不美人とする、という定義はそれなりに納得できるし、上に述べたような矛盾する内容は含まれていない。 しかし、一般的に「検索したら出てくる」のは物理的な特徴が平均値の顔であり、そういった顔の魅力度はおそらく平均値よりも高い。「これより上が美人」なのはその通りだろうが、「下だとブス」とするのはちょっと厳し過ぎないだろうか?
 




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